【遺伝子組換作物が蜂を殺す!?】

こんにちは、Dr.Kです!

2016年6月20日に作成された
記事ですが、最近Facebookで
拡散されていたのでご紹介します。

「近隣にGMO植物の種が植えられた後に
3700万匹の蜂が死んだ」
https://newspunch.com/37-million-bees-dead-after-gmo-seeds-planted-nearby/

英語記事ですが、Google翻訳で
大まかな内容はご理解頂けます。
コレを読んで皆さんどう言う
印象をお持ちでしょうか?

「GMOって蜂が死んじゃうくらいの
毒性があるんだ!怖い!」
でしょうか。

残念ながらそれは
印象操作の思う壺にハマってます。

記事内には何処にもそんなことは
書いていないのです。

記事の要点は
「CanadaのElmwoodで
養蜂業を営んでいるScuit氏は、
600個の巣箱の3700万匹の蜂が
GMOトウモロコシが植えられてから
死んでいると主張されており、
その原因はネオニコチノイドならびに
その系列の殺虫剤が原因だとしています。」
と言うことだけです。

Bayer Crop Science社製の
・イミダクロプリド
・クロチアニジン
と言うネオニコチノイドを含む
殺虫剤がEUと米国で最も広く
使われている殺虫剤ということで、
両地域での蜂の大量死に深く関与
していると考えられています。

何故GMOトウモロコシの種が蒔かれた
地域の周囲でネオニコチノイド系殺虫剤が
使われているのでしょうか?

そもそもトウモロコシの遺伝子組み換えを
行う際に行われることを調べてみると、
・除草剤耐性(特定の除草剤(グリホサートが有名)に耐えられる遺伝子導入)
・害虫抵抗性(土壌内細菌/豆科植物/線虫由来の殺虫蛋白質産生遺伝子導入)
・乾燥ストレス耐性(枯草菌由来遺伝子導入)
と言う主に3種類です。

作付面積で言えば前者2種類が
90%を占めると言う報告もあります。

基本的に食物内の遺伝子は
正常な人間であれば、
消化酵素にて核酸レベルまで
分解されて殆どが排泄されます。

他の動物でも基本的には
その様に考えて問題ないです。
ですから飼料にGMOが使われても
その遺伝子自体は核酸レベルに
分解排泄されます。
もちろん組込遺伝子により作られた
なんらかの物質は別の話ですよ。

除草剤耐性については
殺虫蛋白質とは無関係ですので、
蜂への影響との関連性は低いです。

GMOトウモロコシに導入される
遺伝子で作られる殺虫蛋白質も、
蜂の幼虫/成虫への少なくとも
急性毒性は確認されていませんので、
植えられてからすぐの大量死の
原因としては考えにくいです。

毒性の強い蛋白質や
生産された毒性物質が
中長期的に影響を示す
可能性は否定出来ませんが、
ネオニコチノイド系殺虫剤が
使用されていることが、
蜂の大量死の大きな問題だと
養蜂家も主張しており、
世界的な蜂の大量死の一因で
あることも確認されています。

大量死や蜂群崩壊症候群の
原因としてはこの他にも、
・ハチに対する害虫
・ハチへの寄生虫
・ハチの病気
・餌不足
・人工的飼育による遺伝的多様性の喪失
などが考えられています。

また花粉を運び植物の受粉に
影響しているのは蜜蜂だけで無く、
ハエ、蝶、蛾、蟻、甲虫、コウモリ
などの一部も関与しています。

養蜂業をしている人間がいることで
蜜蜂への被害が強く表面化している
と言う事実はありますので、
その他の送粉者としての生物、
とりわけ昆虫類への被害が
起きている可能性は高いです。


GMOトウモロコシでは無い
植物を栽培する様な農家は
除草剤や殺虫剤にも気を使い、
GMOトウモロコシを栽培する
様な農家はコスト重視で
安価で一般的な殺虫剤を使う。
と言う様な構図でもあるのかな、
と推測することは出来ます。

化学合成された殺虫剤や除草剤の使用は
少ない方が良いとは思いますし、
蜂の大量死の原因として
GMO植物を取り上げるのは
フェアでは無いですので、
正確な情報を確認した上で
正しく不安がったり怖がったり
する必要があるかと思います。