Dr.Kのヘルスケア情報局
セルフケアの意識を広めるとともに、健康維持増進、パフォーマンスアップをサポート
ホーム / 医療 /

【「痛み止め」によく使われるNSAIDsについて】

【「痛み止め」によく使われるNSAIDsについて】

by 宮崎 光史

こんにちは、Dr.K(ドクターコージ)です。

予防医療という事で、
健康に関する話が多いですが、
今回は「湿布」に引き続き
「対症療法」で多用される
NSAIDsやアセトアミノフェンについて
書いてみようと思います。

一般的に「痛み止め」「熱冷まし」として
使用されることが多い
NSAIDs(非ステロイド系抗炎症薬)
と言う種類の薬剤には、
名前の通り抗炎症作用もありますが、
内服すると解熱効果や鎮痛効果もある為、
「解熱鎮痛剤」「消炎鎮痛剤」とも呼ばれ、
アスピリン、イブプロフェン、
ロキソプロフェンなどがあります。

難しい話になりますが、
この種類の薬剤はアラキドン酸と言う
オメガ6不飽和脂肪酸が絡む、
体内の炎症を調節する経路、
通称アラキドン酸カスケードと
言われる化学反応系に作用して、
抗炎症効果を発揮することが
分かっています。

必須脂肪酸と呼ばれる、
ω3不飽和脂肪酸
ω6不飽和脂肪酸
のバランスがω6過剰になると
体内の炎症レベルが上がるのも
この経路が活性化されるからです。

アラキドン酸の代謝過程には
3種の経路があることが分かっており、
第一はシクロオキシゲナーゼ(COX)により
プロスタグランジンやトロンボキサンなどを
合成するCOX経路、
第二はリポキシゲナーゼにより
ロイコトリエンやリポキサンなどを
合成するリポキシゲナーゼ経路、
第三はチトクロームP450(CYP)により
エポキシエイコサトリエン酸などを
合成するCYP経路があります。

COXにはCOX-1とCOX-2の2亜型があり、
COX-1は血小板、消化管、腎臓などに常時発現しており、
臓器の恒常性維持に必要と言われています。
COX-2は炎症などで誘導され、
血管拡張作用などを有し
炎症を促進するプロスタグランジンE2(PGE2)
などを合成します。

炎症や痛みに関わるのは
主にCOX-2とされていますが、
古典的NSAIDs(非選択的NSAIDs)は
COX-2だけでなく
臓器恒常性の維持に必要な
COX-1も阻害するため
胃腸障害や腎障害などの
副作用が生じると考えられ、
COX-2を選択的に阻害する
COX-2阻害薬(COX-2 Inhibitory NSAIDs: Coxibs)
が開発されました。

日本国内の承認薬としては
セレコキシブ(先発品商品名セレコックス)
が唯一のCoxibsです。

Coxibsは非選択的NSAIDsに比べ
胃腸障害の発生頻度は減少しますが、
Coxibsを利用しても胃腸障害は発生します。

その後に胃潰瘍の治癒促進に
COX-2が関与していることが判明し、
それを選択的に阻害してしまうことが
Coxibsによる胃腸障害の原因と考えられています。

さらにCOX-2も実は
腎臓や血管内皮で常時発現し
臓器の恒常性維持に関与している
と言うことが判明しており、
Coxibsを使用しても、
非選択的NSAIDsに比べて
腎障害の発生頻度は変わりません。

また血小板凝集作用を示す
COX-1への阻害作用が弱く、
血管内皮の恒常性を保つ
COX-2を選択的に阻害するため、
Coxibsは非選択的NSAIDsに比べて
心血管合併症を増加させる
危険があると考えられています。

上記の様な理論の上では
COX-2選択性が強いCoxibsは
胃腸障害が少なく血管合併症が多い
と思われますが、
実際にはCOX-2選択性よりも
個々の薬剤の特性が関与している
ともされており、今後の知見の蓄積が待たれます。

小児用バファリンなどに利用される
アセトアミノフェンは
鎮痛・解熱作用を有しており、
NSAIDsと同様にCOXを阻害しますが、
その作用は弱く抗炎症作用は
ほとんど無いことから、
NSAIDsとしては分類されておらず、
一部の呼吸器感染症に伴う発熱に
NSAIDsを利用することで
脳症のリスクが上がる場合には、
第一選択として使われます。

アセトアミノフェンの
詳細な作用機序は未解明ですが、
現在考えられている仮説としては、
中枢性COX阻害に加えて
医療用大麻と言われる
CBD関連で注目されている
カンナビノイド受容体や
セロトニンを介した
下行性抑制系の活性化
が有力と言われており、
NSAIDsのような
胃腸障害や腎障害の副作用は
無いとされますが、
肝障害には注意が必要です。

痛みのシグナルは
末梢神経終→脊髄→脳へと
上行性に伝達され
「上行性」と呼ばれますが、
逆に中枢側である脳から脊髄へと
「下行性」に痛みを抑制するシグナルを
伝達する経路があるとされており、
「下行性抑制系」と呼ばれます。

喘息患者さんの中には
NSAIDsの内服によって
喘息発作が誘発される方がいて、
以前はアスピリン喘息と呼ばれました。

アスピリン以外のNSAIDsでも
症状が誘発されることから、
現在ではNSAIDs過敏症
という名称が好まれています。

NSAIDs過敏症には、
喘息型と蕁麻疹型があり、
いずれもNSAIDs服用後
30分から数時間以内に発症します。

NSAIDs過敏症は、
COX-1を阻害することで
誘発されることも分かっており、
多くの患者さんでは
Coxibsやアセトアミノフェンは
安全に使用できるとされています。

難しい話が続きましたがまとめると

NSAIDsに分類される薬剤には
鎮痛、解熱、消炎の効果がありますが、
胃腸障害、腎障害が起こるリスクがあり、
空腹時の服用を避けることが勧められますし、
市販薬には胃粘膜保護成分が添加されていたりします。
喘息患者さんや喘息の既往がある方の一部には
喘息発作や蕁麻疹が起きる可能性があります。

Coxibsに相当する市販薬は
現時点では存在しませんので、
参考程度で十分かと思います。

アセトアミノフェンは
「炎症を抑える効果」は無いのですが、
鎮痛効果、解熱効果はあり、
胃腸要害や腎障害が起きにくく、
喘息患者さんでも安心して使えます。

そして抗炎症作用のある薬は、
傷の治りを悪くしますし、
身体に必要な免疫反応も
抑えてしまう傾向があります。

また感染症にかかった際に
強い作用がある上記の様な薬剤を使うと、
身体が発熱や炎症が不十分と捉え、
更に炎症や発熱を促進しようとして、
薬剤が切れる頃に
異常な発熱や炎症を引き起こし、
熱性痙攣や脳症などの
原因となることがあります。

アセトアミノフェンは
抗炎症効果が無いことから、
比較的その様なことが
起こりにくいと言われており
脳症のリスクの高い
小児のインフルエンザなどに伴う発熱には
第一選択として使われますが、
我慢できるのであれば使わずに
水分とミネラル分をしっかり補給して、
身体を保温した方が治りは早いです。

セルフメディケーションが推進され、
ドラッグストアで容易に痛み止めが手に入りますが、
NSAIDsや類似成分についての知識を正しく持って
本当に辛い時のみ必要最小限の利用を心がけましょう。


健康になりたい、病気予防をしたい
とは思ってはいるけれども
何をすれば良いのか分からないと言う方へ。

もちろんウェブ上の情報やさまざまな書籍で学ぶのも良いですが、
一般社団法人Wellness Life Support( https://wellnesslifesupport.or.jp )の会員になれば、オンラインコンテンツで学べます。
上級会員の方は毎月2回のオンラインセミナーでさらに深く双方向で学ぶことが出来ます。

これらはグループ制ですので個別相談は受けていません。
個別相談は別途料金が発生します。
法人の方も単回相談だけで無く、健康顧問やCWO(Chief Wellness Officer)などとしての契約も可能ですので、お気軽にご相談ください!

この記事を共有する

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です