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【湿布の本来の効果と使い分け】

【湿布の本来の効果と使い分け】

by 宮崎 光史

こんにちは、Dr.K(ドクターコージ)です。

いつも予防医療という事で、
健康に関する話が多いですが、
今回は珍しく「対症療法」で
多用される「湿布薬」について
書いてみたいと思います。

痛みがある場合には、
使う方が良いのか使わない方が良いのか?
冷やすのが良いのか温めるのが良いのか?
と言うことをよく聞かれます。

まず基礎知識の確認ですが、
湿布は「経皮吸収型消炎鎮痛剤」
の成分を含む貼り薬の総称で、
局所の痛みや炎症、緊張を和らげる
効果があり、
打撲、捻挫、肩こり、腰痛、筋肉痛
などに用いられることが多いです。

湿布の種類は
・温湿布と冷湿布
・パップ剤とプラスター(テープ剤)
に分かれます。

どの湿布も主成分は
非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDs)に
分類される薬剤です。

人の体はプロスタグランジン
という成分が増える事で
炎症を起こし痛みを感じます。

NSAIDsはこの成分の生成を阻害する事で
鎮痛・抗炎症・解熱作用をもたらします。

「温湿布、冷湿布」と言うのは
結構誤解されていますが、
あくまで体感として
温感や冷感を感じさせる成分が
入ってるだけで、
物理的に温めたり冷やしたり
と言う効果はありません。

パップ剤の水分の気化熱で
温度が下がると言う報告も
ありますが、
本来は温めるなら
貼るカイロや蒸しタオルの様なもので、
冷やすなら氷嚢や保冷剤などで冷やし、
湿布はあくまで
急性期の「消炎鎮痛」
目的に使用するのが基本です。

とは言え湿布を利用しながら
冷やしたり温めたりすると、
血管が収縮したり広がったり
することと、
製品の薬物動態が変化するので、
効き目が弱まったり強くなったり
する危険性があります。

具体的に言うと、
温めることで
血管が拡張し血流量が増加します。

また加温により成分を含む部分が
柔らかくなると主成分の放出速度があがり、
相乗効果で主成分の血中濃度が上昇し
NSAIDs内服薬でよくある
胃腸障害などの消化器症状が
起きる可能性があります。

成人の喘息持ちの方の10%程度に
NSAIDsの摂取により
喘息発作や蕁麻疹が誘発される
と言うことが知られており、
以前は「アスピリン喘息」として
知られていました。

現在ではアスピリン以外の
NSAIDsでも起こること、
喘息メインの病態だけでなく、
蕁麻疹メインの病態もある
ことが判明したことから、
「NSAIDs過敏症」と呼ばれています。

通常はNSAIDs内服薬を摂取した
30分から数時間以内に
発症しますが、
湿布薬の不適切な使用などにより
主成分の血中濃度が高まると、
症状が誘発される危険性があります。

さらに
貼り薬の粘着成分が温まると
皮膚への粘着力がまし、
かぶれや痒みなどの
皮膚トラブルを引き起こす
可能性が高くなります。

冷やした場合には
逆に効きが弱まる可能性があります。

また「モーラステープ」
と言う製品においては、
主成分のケトプロフェンが吸収された
皮膚に紫外線が当たると、
火傷の様に皮膚が急性炎症を起こす
「光過敏症」が起こることが
知られていますので注意が必要です。

剥がせば良いと思われる方もいますが、
成分が残存している間は起こりやすく、
使用後4週間程度は
日光が当たらない様にしたり、
日焼け止めを利用したりして、
紫外線が直接皮膚に当たらない様な
ケアが必要とされています。

中には使用後数ヶ月経ってから
貼付部位に一致した日光過敏症を
発症したと言う報告もあるので、
「モーラステープ」は出来れば
肌を露出しやすい部位には使わない
様にした方が良いですし、
上記の様に貼付しながら温めたり
すると皮膚や血液中の成分濃度が
高まるのでやめた方が良いです。

捻挫や打撲などの原因が明確な場合、
そして耐え難い苦痛を和らげるには、
とても有効な湿布ですが、
原因が他にあり
慢性的な痛みがある場合には
あまり効果がありません。

例えば膝を突然痛めたように思っても、
実は疲労が溜まってたり、
歪んだ身体の使い方を長年して来て、
膝のバランスが崩れていたり、
膝以外の筋力や柔軟性などが低下し
それを補おうとして結果的に
膝に負担がかかってたり、
と言う様な
慢性的なダメージが目に見える様になり
発症しただけと言う場合には、
湿布薬だけで解決することは
ほとんど無いということです。

使う方が良いのか使わない方が良いのか、
と言う質問に対しては、
「原因が明らかで辛い時には使えば良い」
ということです。

そしてよくある質問の
「温めるべきか冷やすべきか」
と言うのもまた厳密な評価よりも
「楽な方をすれば良い」
と思います。

温めてみて辛さが増せば冷やしてみる。
冷やしてみて辛さが増せば温めてみる。
そしてその後どっちを選ぶかは
自分で決めれば良いんです。

○○の時は冷やさず温めた方が良い、
とか覚えておいてもその状況が
どれに該当するのか判別するのは
実際には困難な場合が多いですしね。

そして上記の様に
「湿布を使いながら温める」
と言うのは気をつけた方が良いです。
冷やす方は効果が弱まる
可能性があるくらいなので
楽ならば併用して冷やしても
良いと思います。

ただ一時しのぎですから、
ある程度落ち着いてきたら、
湿布を使わず貼るカイロを使い
血流を促して局所の自然治癒力を
活性化させることで、
痛み止めを使わずに症状を改善させる
整形外科医もいらっしゃいますし、
そうするのが良いと思います。

「血流」と言うのは
実はとても重要なキーワードです。

「炎症」とは毛細血管を拡張させ
免疫細胞などを集合させたり、
細胞の再構築に必要な成分を
より多く送り込み、
壊れたり老化した細胞を破壊し、
不要となった老廃物の回収を
促進したりすることで、
自然治癒を促進させる反応です。

ですから本来は
急性炎症や発熱を止めることは、
自然治癒を妨害することなんです。

とは言え耐え難い苦痛がある場合には、
治癒が遅くなることは理解した上で、
やむを得ず炎症を和らげ熱を下げる、
と言う対症療法が取られます。

NSAIDs内服薬でムリヤリ解熱させた場合、
身体が「発熱能力が弱ってしまった」
と判断して更なる発熱反応を起こし、
薬剤の効果が切れる頃に、
反跳性に異常な高熱が出て、
痙攣を起こしたり脳症をおこして
後遺症が残ってしまう場合もありますので、
特に子どもの場合には、
安易な解熱剤の利用は控えた方が
良いと思います。

炎症が血流を高めて
自然治癒を促進するのであれば、
慢性的に炎症状態にすれば、
自然治癒が進んで若返るのでは?
と思う方もいるでしょう。

しかし実は逆に血管や組織において
弱い炎症が慢性的に続くことで、
さまざまな症状や病気を引き起こす
ということも指摘されていますので、
必要な時にしっかり炎症が起き、
通常は炎症は必要最小限にする、
と言うのが健康の為に大切です。

そして炎症とは関係なく、
組織への血流が良いと、
酸素や栄養素の供給とともに、
老廃物や毒物の排出能力も高まり、
生体の機能は活性化されます。

逆に血流が悪くなると、
酸素や栄養素の供給や
老廃物や毒物の排出は悪くなり
不調や病気が起こりやすくなります。

科学的には解明されていない
瞑想や気功などの健康効果は、
交感神経の過緊張を和らげ、
筋緊張を弛め毛細血管血流を促す、
と言う効果も影響しているのでは、
と考えられますし、
不調部位や臓器を温めると言う視点で
施術や食事内容の改善を行うことで
更に効果を上げられる可能性も
考えられます。

とは言え過剰な加温は逆に
健康に害を来すことは、
熱中症で亡くなることもある、
と言うことを考えれば分かるでしょう。

あくまで血流が良くなる程度に
適度に加温すると言うことです。

唯一適度な冷却が健康に重要なのは、
男性の精巣(睾丸)です。
男性機能の維持強化の為に、
陰部を密閉しない様に、
あるいは定期的に冷却する様な
健康法が存在するくらいです。

湿布薬の利用と冷却、加温を
適切に使いこなせる様になると、
怪我の治りも早くなりますし、
日頃から自分の身体や動作を見つめ、
歪みや癖を整えたりしておくことが、
痛みなどのトラブルに至る前に
予防的に対処していることになります。


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