【蛋白質摂取量の評価法】

こんにちは、Dr.Kです!

食品が含む蛋白質を評価する
数値は幾つかありますが、
基本的な知識について
説明してみたいと思います。

まずは口から入った
アミノ酸結合体としての
蛋白質がどれくらい
体内に消化吸収されるのか
を示す「消化吸収率」です。

これは健康で十分に
蛋白質が充足し消化酵素が
十分に分泌されている場合、
動物性蛋白質は平均約97%
植物性蛋白質は平均約84%
と言われています。

植物性蛋白質の消化吸収率は
食物繊維を同時に摂取することに
なる為に消化管内をより速く
移動することで十分な消化が
行われにくくなることが
影響していると推測されています。

加えて「生物価 Biological value」
と言う考え方があります。
消化吸収された蛋白質(厳密には窒素)が
どの程度体内に保留されるのか
を数値化したものです。

この生物値には、
・食事の蛋白質含有量
・蛋白質の質の優劣
が影響するとされています。

そして
消化吸収率×生物値として
正味蛋白質利用率(Net Protein Utilization N.P.U .)
と言うモノがあります。

また必須アミノ酸それぞれの
必要量と言うものが推定されており、
最低限必要な量を100とした時に、
各食材に各アミノ酸が蛋白質の
一成分としてどれだけ含まれているかを
数値化した場合に、
一番少ないアミノ酸により
全てのアミノ酸の利用効率が影響される
と言う研究結果から、
牛乳に含まれる蛋白質を使って
国際連合食糧農業機関(Food and Agriculture Organization of the United Nations, FAO)
が算出したパターンを用いた
プロテインスコアと言う
モノがあります。

1956年に提唱された
プロテインスコアと言う概念ですが、
その後ストレスによる必要量増加や
個人差、皮膚などからの窒素損失を
取り入れる形で変化して来ました。

アミノ酸スコアと言う
比較的新しい概念も似た様なモノですが、
食品業界の意向をかなり取り入れた
モノである為に、
概念としては古いですが、
プロテインスコアを重視した方が
良いという専門家もいます。


では実際にどれくらいの量を
摂れば良いのでしょうか?
プロテインスコアが100であるとして
体重1kgあたり約1g/日が必要、
つまり体重50kgの場合50g/日の
蛋白質が必要とされています。

閉経前の女性は約1.3g/kg/日
必要量がより多くなっている
・慢性疾患患者さん
・成長期の子供
・高負荷運動者
の人達は1.5-2.0g/kg/日が
必要と言われています。

自分は150kgだから
スコア100相当の蛋白質を
1日150g食べなきゃだー!
と思われた方、ストップです。

ここで言う「体重」とは
目標体重或いは理想体重です。
体重(kg)/身長(m)の二乗
で算出されるBMI(Body Mass Index)
で20-22程度を目安として下さい。

現体重が150kgだったとしても、
身長が160cmだとしたら、
51.2-56.32kgが理想体重ですので、
50-55g/日のプロテインスコア100相当の
蛋白質を摂取すると言うことです。

そして蛋白質は脂肪の様に
蓄積することが出来ませんので、
毎日摂取することが大切です。

もちろん1-2日抜いたからと言って
大きな問題が発生する訳では無いですが、
必須アミノ酸の不足が続くと、
自分の組織を分解して利用し始めます
ので、筋肉量が落ちて来ます。

そして蛋白質を意識した食事を
していても、スコアの低い食材に
偏っている場合には、
思っているほど利用出来ていない
かもしれません。

ちなみに常に
プロテインスコア100の蛋白質を
摂取するのは難しいとは思いますが、
人類の素晴らしい発明である料理で
複数の食材を組み合わせることで、
不足するアミノ酸をカバーして
スコアをアップさせることも出来ます。

有名なのが
白米と大豆の組み合わせです。

ただ、スコアが高くても含有量が
少ない場合は全体的に不足して
しまいますのでご注意下さい。

そして、
一番不足している栄養素により
栄養素の利用効率が決まるのは
ビタミンやミネラルも同様です。

そして体内の化学反応に必要な
酵素は蛋白質で出来ています。

ビタミンやミネラルは
酵素の働きを助ける補酵素
としての役割が大きいですが、
そもそも蛋白質が不足している時、
ビタミンやミネラルが十分であっても
化学反応はうまく回りません。

そして様々な消化酵素は
蛋白質で出来てますので、
蛋白質不足の状態では
消化吸収率は低くなります。

ですから、
慢性的な栄養失調の場合、
まずは蛋白質不足の解消が
最優先事項になります。

最後にまとめると
蛋白質を考えるのに大切なのは
・プロテインスコア/アミノ酸スコア
・消化吸収率
・生物価(吸収アミノ酸の利用率)
・1日あたりの摂取量
がとても大切と言うことです。

あなたは日々の食事で
蛋白質は足りていますか?