【ドイツのオーガニック認証Demeterとは】

2023年6月29日

こんにちは、Dr.K(ドクターコージ)です。

知人の北海道十勝市の畜産農家の方が、
日本では珍しくオーガニック認証を取得した
牧場経営を本気で始めており、
オーガニック先進国とも言える、
ドイツに研修に行かれています。

そこで素晴らしい刺激を多々受けられ、
今後ともさらに活躍されていく様な
感じがしております。

彼のドイツ研修に関する投稿に、
Demeter認証の製品についての
投稿がありました。
「Demeterのジュース」と言うので、
ジュースメーカーの社名?
と思いましたが、
コレがなんとオーガニック認証規格。

知らない人も多いはず!
と思ったのと、
学びのアウトプットも兼ねて、
blogにまとめてみました。

【Demeterとは】
Demeter認証は、
世界で最も認証基準が厳しい
とも言われている、
ドイツのオーガニック認証の1つです。
EUでは
この認証を取得していることが信頼に繋がり、
一種のステータスとして認識されます。

Demeter認証を取得するには、
バイオダイナミック農法というやり方で、
作物を育てたり家畜を飼育する事が大前提。
それだけでなく、
製品の加工も厳しい基準に則して
行う必要があります。

2020年2月にDemeter認証を統括する
Demeter-Internationalと
International Biodynamic Association (IBDA)が統合されました。

現在は、非営利組織
The Biodynamic Federation Demeter International (BFDI)として、
5つのビジョンを掲げて活動を行っています。

  • エコロジー:バイオダイナミック農法により、人類が地球環境に対して責任を持つように促す
  • 人材開発:ひとりひとりの個性の発見と、更なる成長に繋げる
  • 経済的価値の創造:質の良い健康的な食品や農産物を生産する
  • 社会関係:お互いを尊重し、敬意と寛容さを持って共に生き、働く人々を育成する
  • 宇宙的・精神的影響:物質的・精神的世界を包含し、人類が宇宙と大地の力を意識する

    【バイオダイナミック農法とは】
    バイオダイナミック農法は1928年に、
    オーストリアやドイツで活躍された哲学博士、
    ルドルフ・シュタイナー氏によって提唱された、
    世界最高峰の有機農法と言われています。

    バイオダイナミック農法は化学肥料や農薬は使わず、
    太陽の位置や月の満ち欠け、
    植物のリズムなどに合わせて行います。

    自然が本来持っている力を
    最大限に引き出すことを重視し、
    種まきや収穫といったタイミングは、
    太陽暦と占星術に基づいた「農事暦」
    に沿って決めます。

    ここだけ見るとスピリチュアルに
    感じるかもしれません。
    自分も最初調べた時はそうでした。

    しかしドイツでは、
    1950年からこの農法に関する研究が、
    世界中の研究機関と共に進められ、
    実際に月の満ち欠け等が、
    植物の成長や代謝に影響を与えている
    と言うことが判明していますので、
    非科学的なスピリチュアリズムとは
    全く異なります。

    【そもそもオーガニックって?】
    オーガニックは日本語では「有機」です。
    有機農法は化学肥料や農薬を一切使用せず、
    牛糞や米ぬかといった自然由来の素材のみを
    使用して農作物を栽培します。
    オーガニック(有機)の食材は、
    安心・安全であるだけでなく、
    健康や地球環境にも配慮することが可能です。

    【Demeter認証を取得している食品・飲料製品】
    Demeter認証の食品・飲料製品は、
    バイオダイナミック農法によって、
    栽培・飼育・加工されたことが保証されます。

    BFDIのホームページには、
    「ワイン」「野菜・果物」「鶏肉・卵」「肉」「乳製品」
    の5種類の項目に分けて
    食品・飲料製品が紹介されています。

    認証ワインの醸造家は、
    良質なワインを生産するだけでなく、
    葡萄畑を一つの生命体として捉えており、
    周辺の植物や昆虫といった生態系に対しても
    細心の注意を払います。

    認証ワインの醸造家は、
    ワインを「生産する」のではなく、
    ワインに寄り添うことで、
    その土地や暦にしか出せない
    個性を引き出すとされます。

    認証された野菜や果物は、
    完熟した状態で収穫されます。
    そのため新鮮で風味豊かなだけでなく、
    本来持っているビタミンなどの栄養素も
    多く含んでいます。

    認証を取得している鶏肉や卵は、
    アニマルウェルフェアに配慮されています。
    鶏たちが自由に歩き回れるだけの
    敷地を確保しており、
    ストレスなく卵を産むことができます。

    食肉は、鶏・卵同様に、
    アニマルウェルフェアに配慮されています。
    一部の国々では、
    家畜へのホルモン剤や抗生剤の投与、
    突き合い防止や安全面・衛生面の理由から
    角や尻尾、翼の切断が行われますが、
    これらの行為を禁止しています。
    屠殺時もの家畜のストレスを
    最小限に抑えるため、
    農場で屠殺を行う畜産農家もいます。

    認証乳製品は、
    餌の栽培、牛の飼育方法、加工に至る全工程を、
    バイオダイナミック農法に沿って管理します。
    牛たちは放牧され、地域で栽培された
    穀物や干し草、ハーブ、などを食べます。

    認証を取得した乳製品は、
    牛乳の味を均質化する「ホモジナイズ(均質化)」処理は行っていません。
    またその土地で栽培された餌を食べることで、
    地域の特徴を反映した、
    他では得られない味と風味を生み出します。

    日本で目にすることが少ないDemeter認証ですが、
    国内でも同認証を取得した
    オリーブオイルやワイン、コスメなどを
    目にする機会が増えています。

    Demeter認証は、
    EUのオーガニック基準よりも
    かなり厳しい基準を設けており、
    環境や健康に対する意識の高い消費者からの
    信頼に繋がっています。

    今後日本の企業が海外展開する上で、
    Demeter認証の取得が
    信頼と高評価に繋がるのは間違いありません。

    「バイオダイナミック農法」も
    普段耳にしない言葉でしょうが、
    環境に対して責任を持ち、
    動物や植物の生命力や栄養を
    最大限引き出す農法は、
    健康や環境問題に対する意識の高まりから、
    今後さらに注目されるはずです。

    日本でもようやくですが、
    これまであったJAS有機認証に加えて、
    2023年4月に
    JGSグラスフェッド認証規格が出来ました。
    https://oco45.net/2192/

    第一号認証は最初にご紹介した
    北海道十勝市の鈴木牧場さんです。
    https://www.hiroo-suzukifarm.com

    牛に必要な塩を海水から手作り
    するところからスタートして、
    コツコツとオーガニック畜産を目指し、
    頑張っておられます。

    日本の消費者は、
    まだまだ製品のラベルや認証表記を
    確認する事は珍しいと思いますが、
    まずはラベルやパッケージの表記を
    確認する習慣をつける様にしましょう。

    国内のJAS有機認証には、
    認可農薬を認めてるからダメだ、
    と言う様なことを言う人達もいます。

    もちろん完全無農薬無施肥で
    やってる方で認証を敢えて取らない、
    と言う方もいますので、
    認証の有無だけで判断するのは難しいです。
    「完全無農薬無施肥」やそれに準ずる表記が
    ある物が手に入れば良いですが、
    そうでは無い場合にJAS有機認証マークは
    選ぶ指標としては悪く無いと思います。

    近い将来はEUやドイツの認証規格の様な、
    より厳しい認証規格が日本にも出来て、
    認証製品がより安価に普通に手に入る、
    と言う社会になれば良いですね。

    【参考資料】
    demeter公式サイト: https://demeter.net
    BFDI – VISION, MISSION,PRINCIPLES AND VALUES: https://www.demeter.net/wp-content/uploads/2021/06/DEMETER_VisionMission-EN.pdf