【手指衛生時は常に消毒すべし!?】

こんにちは、Dr.K(ドクターコージ)です。

withコロナな今日この頃。
マスク着用とともに
擦過式アルコール消毒液が
とっても身近になりました。

洗面所にも普通に設置してあり、
手洗いした後に「シュッシュ!」
と必ず使うイメージですよね。

しかしアルコール擦過消毒は、
水が使えない時に応急的に使う
と言うのが本来の使い方で、
水や石鹸で手洗い出来れば、
本当は使わなくても良いのです。

と言うかむしろ毎回石鹸で手洗いし
皮脂を落とした後にアルコールで
刺激をすることで
皮膚や常在菌に過剰なダメージを
与えることになり、
皮膚トラブルの原因にすら
なりかねません。

実際コロナ禍になってから、
マスク荒れや手荒れで
皮膚科は大盛況です。

外科医が手術前に手洗いをして
手術室に入っていきますが、
昔は抗菌剤入りの医療用石鹸と
紫外線照射をした水を用いて、
ブラシでゴシゴシと爪周りを擦り、
手や腕の皮膚も隈なくゴシゴシ擦り、
それを何回もした上で、
滅菌ナプキンで手を拭いていました。
この拭き方もコツがいるんですよね。

ところがこの洗い方、
細かい傷を皮膚表面につけることで
逆に病原菌を増やしてしまったり、
皮膚トラブルにつながると言うことで、
今ではほとんど行われないです。

現在では普通の水道水で、
市販のハンドソープを用いて
皆さんと同じ様な揉み洗いだけ行い、
普通の紙ナプキンで普通に拭いて、
擦過式アルコール消毒液を用いる
様なやり方になっています。

一部病院では爪先のみ
抗菌剤入り医療用石鹸でブラシ洗いをし、
その他は同じ石鹸で揉み洗いをし、
擦過式アルコール消毒液を用いる、
と言うやり方も行なっています。

少々乱暴な言い方になりますが、
毎回石鹸を用いた消毒を行い、
その後に擦過式アルコール消毒液を
用いる様なことは、
毎回手術前の外科医と同等レベルの
手洗いをしていると言うことで、
明らかにやり過ぎですし、
一般的な環境ではすぐに
その効果は無くなります。

滅菌手袋を装着する外科医でも
3時間経てば手袋の中は
手洗い前と変わらない状態
とも言われています。

ではどうすれば良いのでしょう?

水が使える環境であれば、
食事や衛生的作業をする前、
あるいはトイレを使った後に、
30秒ほどかけて揉み洗いをすると
手の表面の菌は1/100のレベルまで
減ると言われています。

通常はコレだけで十分でしょう。

目に見える汚れが付着してる場合は
石鹸を併用することが推奨されます。
殺菌剤が含まれている必要は無く、
エンベロープと言う外膜を持つウイルスは
アルコールだけでなく界面活性剤でも
感染能力を失うことが知られています。

インフルエンザウイルスやコロナウイルスは
エンベロープを持っているので、
石鹸成分だけでも不活化できるのです。

石鹸を用いた
10秒程度の揉み洗いと
15秒程度の水道水すすぎで
1/10000のレベルになります。
2回繰り返すと更に減ります。

手洗いした後には
手の表面の水分を
しっかり拭き取る
のも大切です。

withコロナ時代になり、
ハンドドライヤーは軒並み
利用禁止となっていますが、
適切な手洗いをした後であれば、
十分に病原体が減った後の水滴であり、
問題となる様な濃度の病原体を
撒き散らす様なことは
考えにくいですので、
有効活用すれば良いのにと思います。

手洗いせずに使った場合には、
手の表面にある垢や常在菌の
微粒子が飛び散るかも知れませんし、
ハンドドライヤー表面に
不特定多数が触れることで
不潔になっている様な場合は
注意が必要とは思います。

ペーパータオルを用いる場合も、
ビショビショの手のまま
2-3枚を雑に使うのでは無く、
両手をシンクの上で10回ほど
しっかり振って余分な水滴を
落とした上で使うと、
1枚で十分拭き取ることが出来ます。

石鹸を使った手洗いの後は
消毒よりも保湿をする方が
トラブル予防に大切です。

水がすぐに使えない場合には
濡れたウェットティッシュや
お絞り/お手拭きなどで、
まんべんなく手の表面を
しっかり拭き取ることでも
手の表面の病原体を減らせます。

2-3回重ね拭きをすることで、
より効果的になります。
特に殺菌剤が含まれている必要は
ありません。

そしてそれらが
全て使えない時に初めて
擦過式アルコール消毒液が
活躍することになります。

手のひらに規定量取ってから、
乾燥するまでしっかりと
まんべんなく擦り込むのが
とても大切です。

乾燥する前に拭き取ったり、
量を少量にしたりしてしまうと、
期待される効果は得られません。

繰り返し使っていると、
手がベタベタしてくるので、
水が使えるところへ移動して
水道水で洗い流すと良いですね。

ちなみに次亜塩素酸は、
物の表面の消毒に有効ですが、
吸入すると人体に有害ですので、
なるべく人のいない環境で使用し、
人が入る前に十分に換気をする
ことが大切です。

加えて次亜塩素酸自体は
有機物(粘液など蛋白質成分)と
速やかに反応して効力を失うので、
次亜塩素酸を利用する場合には
しっかり清掃して有機物を取り除く
ことをしないと効果が薄いので
コレも気をつけておきましょう。

この性質の為に、
皮膚消毒には向かないことも
理解して頂けるかと思います。

感染対策として気をつけるべき
もうひとつのことは、
不特定多数の人が触る場所に
触れた手指で眼、鼻、口などの
粘膜に不用意に触れない様に
意識することです。

完全に触らないのは不可能に近いですが、
意識して頻度を減らすことは出来ますし、
どうしても触る場合には
指の背側などを使うなどして
指の腹側で触った環境面から
病原体を粘膜に移植しない様に
意識することもできます。

過剰になり過ぎない
適度な衛生管理を行い、
常在菌を守りながら
感染対策をしていきましょう。


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