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【トランス脂肪酸と認知機能】

【トランス脂肪酸と認知機能】

by 宮崎 光史

こんにちは、Dr.Kです!

興味深い研究結果が
報告されました。
「アルツハイマーのリスク、トランス脂肪酸含む食品で75%増大も」
https://www.cnn.co.jp/fringe/35144380.html

紹介されている久山町研究の最新論文はこちら。
https://n.neurology.org/content/early/2019/10/23/WNL.0000000000008464

トランス脂肪酸って
健康を気にし始めると
耳にすることが多いですが、
いったい何なのかをしっかり
理解している人は意外と少ないです。

そもそも「トランス」とは、
炭素鎖の中に二重結合がある場合に
構造式としては同一であっても、
「シス型結合」「トランス型結合」
と言う違いが起こるのですが、
多くの生物の体内では殆どが
シス型結合である「シス脂肪酸」。
例外的に牛やヤギ などの反芻動物の
体内で微生物により生成され、
それらの肉や乳製品の脂肪に
2-5%の割合で天然トランス脂肪酸が
含まれます。

1970年代に「動物性脂肪が諸悪の根源」
と言う様なキャンペーンが米国で為され、
不飽和脂肪酸である植物油に水素添加し
飽和脂肪酸を合成して
マーガリンやファットスプレッド、
ショートニングなどが
生産される様になりました。

その際に十数%から数十%の
飽和化し切れなかった
不飽和脂肪酸のシス結合がトランス型に
変化し直線的な構造になります。

十分に水素添加するまで
反応させれば良いのですが、
コストとの関係で一部トランス脂肪酸が
含まれる形で商品となることが
多かった様です。

加えて長時間加熱され高温状態にある
植物油においても酸化され過酸化脂質が
生成される過程で
シス結合がより安定的なトランス化
することも分かっており、
動脈硬化の一因とも指摘されています。

不飽和脂肪酸の中では
オレイン酸は加熱によるトランス化が
起こらないと言われています。

そして加熱調理された食品において
含有脂肪のなんと60%がトランス脂肪酸
であると言う報告もあります。
特に電子レンジによるマイクロ波加熱を
した場合にはよりトランス脂肪酸が
増えるとも言われています。


トランス脂肪酸自体は、
FDA(米国食品医薬品局)により
2015年に人工トランス脂肪酸について、
心臓発作との関連など
健康への害があると判断。
2018年6月18日から
食品添加を原則禁止としています。

日本国内においては2011年に
消費者庁により
含有量表示ガイドラインが作られました。
表示義務とはなっていないので、
表示が無いから含まれない訳では
ありません。

今回発表された研究では、
認知機能低下症状の無い
60歳以上の久山町住民1628人を
平均10.3年追跡調査したものです。

食生活のアンケート分析に加え、
血液中トランス脂肪酸を測定したことが
今までの研究には無い特徴です。

追跡調査期間中に、
247人がアルツハイマー型認知症
102人が脳血管性認知症
を発症したそうです。

認知症リスクに影響するとされる
高血圧、糖尿病、喫煙など
他の要因を統計処理にて調整した結果、
高トランス脂肪酸グループは、
低トランス脂肪酸グループに比べて
アルツハイマー型認知症を発症する確率が
52-74%高かったということです。

興味深いことに、
脳血管性認知症との関連性は
認めなかった様です。

一般的には小麦粉加工食品の
ケーキ、パイ、冷凍ピザ、クッキーや
安価な揚げ物、コーヒー用クリーム
にトランス脂肪酸が多く含まれる
と言われていますが、
久山町研究におけるトランス脂肪酸源は
菓子パン類、マーガリン、キャンディー、
キャラメル、クロワッサン、
植物性クリーム、アイスクリーム、
せんべい類だったと報告されています。

これまでトランス脂肪酸は
動脈硬化を悪化させると言う
報告がありましたが、
認知機能の悪化に関わる可能性も
確認されたと言うことですね。

脳血管性認知症と関連が無かった
と言うのも興味深いです。

注意しなければいけないのは、
集団を分析してこの様な結果に
なりましたが、
個人がトランス脂肪酸を常習的に
摂取して血液中の濃度が高いから
将来必ず認知機能低下を起こすと
言うことは
誰も断言することは出来ない
という事です。

とは言え避けた方が良いとは
思いますけどね。

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