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【エアロゾル感染とは?】

【エアロゾル感染とは?】

by 宮崎 光史

こんにちは、Dr.Kです!

なんだか中国当局が新型コロナウイルスに
「エアロゾル感染」の疑いがあると発表、
とのことでネットやメディアは混乱を
している様ですね。

中国の発表自体、
エアロゾルによる感染があるという
上海衛生健康委員会と、
「まだ証拠が無い」という
中国疾病予防センターの専門家との
見解が異なっている
という問題があります。

あくまで可能性ですし後述する様に
そもそも「エアロゾル」と言うのが
通常の環境で自然発生することは
かなり稀です。

他にも糞口感染の可能性がある、
と言う情報もあります。
コレは肺炎患者の検体の検査で、
・鼻や口のぬぐい液は陰性となることもある
・ぬぐい液で陰性でも喀痰検索で陽性の患者がいた
・血液検査では陰性だった
・便検査で陽性になった
と言う様な報告が出てきたことから
言われていることですが、
そもそも「糞口感染」とは、
消化器感染症でごく微量で伝達する
赤痢菌、O157、ノロウイルスなどに
用いられる用語であり、
今回問題となっている様な
呼吸器感染症の伝播/感染経路としては
認識されていません。

そしてまたそもそもなんですが
「エアロゾル感染」と言う専門用語は
少なくとも感染症や微生物学の分野では
定義がありません。

【「感染」と言う言葉の定義】
呼吸器感染症の感染経路の
分類としてあるのは
・接触感染
・飛沫感染
・空気感染
です。

ややこしいのが、
英語では日本語の「感染」に相当する表現として
・contagion : 粘膜や皮膚の無い創傷面からの感染
傷口からの狂犬病感染など
・infection : 空気や水を介した感染
呼吸器や消化器への感染症全般
・transmission :伝播/伝染と言う幅広い概念
があります。

transmission 伝播とは
身体近く或いは粘膜面まで病原体がやってくること
infection 感染とは
病原体が細胞内や組織内に入り込むこと
と言う違いが厳密にはあります。
infection 感染してもonset 発症するかは
その人の免疫力次第です。

しかし、英語のtransmission を「感染」
と訳してしまうことも多々あり
単語の意味するところが話し手により
異なっていると言うのが現状です。
以下の項では「伝播」を用います。

中国語での記者会見内容が
英語や日本語に訳される間に
微妙なニュアンスや単語が
変わってしまった可能性も
否定できません。

【伝播経路の種別分類】
そして呼吸器感染症の伝播経路の
接触伝播以外の細かな分類としては、
・飛沫 droplet : 飛散する水分の小粒子(径5μm以上)に覆われた病原体が空気中を短時間1-2m程度の距離を飛ぶ
・飛沫核 droplet-nuclei : 飛沫の病原体周囲の水が蒸発した小粒子(直径5μm未満)が長時間空気中を浮遊
・塵埃 dust : 土壌/床などで乾燥した病原体(径5μm未満)が長時間空気中を浮遊
の3種類で後者2つを合わせて
・空気 airborne :飛沫核、粉塵を合わせた呼称
と呼称します。

これらの後ろにtransmission 伝播とつけたモノを
「◯◯感染」と言う様に訳すのが通例です。

【エアロゾルとは?】
エアロゾルとは病原体周囲に
水分が存在する5μm未満の小粒子です。

「エアロゾル感染/伝播」と言う用語は
公式のモノはありませんが、
この様な微小粒子を吸入することにより
病原体が伝播すると言うことです。

エアロゾルと言う状態自体が
自然界ではかなり稀であり、
超音波加湿器や噴霧器により生成される
ことが殆どです。

なので、一般家庭などでは
衛生的では無い加湿器内に
増殖したレジオネラがエアロゾルを
介して伝播し感染、肺炎を発症することが
報告されている程度でした。

病院内では、
人工呼吸器を接続した患者の
定期的な気管内吸引時などに
陽圧の気管内からエアロゾルが
発生するのが確認されており、
その様な場合にN95マスクを
適切に装着することが
推奨されています。

エアロゾル伝播は
水分を含む粒子であることを重視すると
飛沫伝播の一種と言えますが、
粒子径は5μm未満であり、
長時間空気中を浮遊すると言う挙動から
空気伝播のひとつして捉える
と言う考え方もあり、
専門家の間でも見解が分かれる様です。
ですがあくまで学術的な定義の話です。

ちなみにサージカルマスクは
最大5μm径の飛沫が95%以上通過しない様に
なっていますので、感染者が着用することで
周囲への飛沫伝播対策の一助となります。

N95マスクは0.3μm径の粒子を95%以上
捕集することが確認されたフィルターを用い、
隙間なく装着する様に設計されており、
適切なマスクサイズを選ぶ必要があります。

ウイルスの大きさよりもフィルター孔が大きく、
複数の研究でもウイルス感染予防効果は
確認されていません。

ただしここれらの数値はあくまで検査機器に
フィルターをセットした実験室内での数値です。

サージカルマスクを非感染者が装着することで、
1-2m以内の他者から鼻や口への飛沫伝播を
和らげることが期待されます。
ただ隙間がゼロでは無いので完璧では無いこと、
適切な装着や取り外し後の処理、
交換前後の手指洗浄/消毒を行う必要があること、
を理解しておく必要があります。

そして今回の新型コロナウイルスの場合、
結膜炎から発症したと言う情報もあり、
飛沫が眼球/眼瞼結膜へ付着することで
感染が起こる可能性も否定できませんので、
明らかな感染者と対面する場合には
飛沫を通さない眼鏡やゴーグルを
装着することも有効かと思います。

基本的には新型コロナウイルスは
少なくとも一般環境下での
呼吸器感染症に対しては
ほぼ接触伝播か飛沫伝播と言う認識で
問題ありません。

重症肺炎になり人工呼吸器に接続された
患者のケアをする医療従事者は、
しっかりと上記対策をする必要が
あるかとは思いますが。

ですから一般の方々がやるべきことは
今までと同じです。

【基本的対策内容】
・手洗い
水道水で20-30秒かけてしっかりと。
目に見える汚れがある場合はしっかり泡だてた石鹸を併用。
特にマスクを外した後は忘れずに。
水が近くに無い場合、アルコール含有擦過消毒液やウェットティッシュ清拭も有効です。
・マスク着用
「感染者体液飛沫の粘膜付着抑制」
「素手で鼻や口へ触るリスクの軽減」
「装着者の鼻や喉の粘膜の保湿」
上記3つが非感染者がマスク装着すらことで
期待される効果です。
ウイルス感染予防効果は認められていません。
眼の粘膜からの感染を指摘する声もあります。
「感染者からの体液飛沫拡散抑制効果」
も感染者がマスク装着することの大きな効果です。
・多くの人が触れる場所のこまめな清拭
適切な濃度のアルコール、次亜塩素酸などが含まれた溶液を利用しましょう。

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